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ショート中森ショートショート

 日頃巡回させていただいているシメグル.さんの所で見た絵がドッキュンハートにショッキングしてしまったので、勢いでSSを書いてしまいました。
 勿論無許可なんで今から事後承諾でコメント送ってきます。イェー。

 舞台はシメグルさんチの世界観ではなく、いつもの正史よりの世界観でさえなく、鯖2でのウチの団体になってます。非道ですね。
 ので、今回は登場人物の紹介を以下に羅列しました。一握りの良心。

 

ガルム小鳥遊:団体のトップヒール。団体ベルト保持者。いいひと。
オーガ朝比奈:団体のナンバー2ヒール。小鳥遊とのタッグは世界のベルトも狙えるほどとも。いいひと。
ブレード上原:団体のベビーのトップ。「評価値では」小鳥遊にも勝る。ヘタレちょっとヘタレ。
中森あずみ:次期エース候補。堅実な試合運びとここ一番での気迫が持ち味。地味。
RIKKA:次期エース候補。寡黙な性格と派手な飛び技のギャップが魅力。むぅ。
テディキャット堀:若手。上原の教え子で、期待のジュニアにゃ。
菊池理宇:新人。サバイバーで敬語を忘れた。
アニー・ビーチ:団体と提携しているTWWAの若手。中森のタッグパートナー。
バニー・ボンバー:団体と個人で契約しているフリーの選手。RIKKAのタッグパートナー。胸が凄い。



 さて、ぼんやりとでも理解していただいたなら。以下、SSとなります。だうぞぞぞぞ。
 その日、澄んだ冬の朝日に照らされて、ガルム小鳥遊は機嫌よくジムの扉をくぐった。
「オ――」
 上機嫌に合わせて発せられようとした、彼女にしては高らかな挨拶は、しかし、師弟関係とも腐れ縁とも言いがたい、妹分のオーガ朝比奈の声によって遮られることになった。
「来たか大将!
 た、大変だ! 妙なコトになった!」
 何事かしらん、焦る朝比奈を、小鳥遊は王者の貫禄で一笑に付した。
「なんだぁ、そんなに慌てて?
 あー、アレか。とうとう今日子の奴の眉毛が取れたか?」
「そうだ!」
「マジでかっ!?」
 ゴンッ
「ッて!」
 朝比奈の脳天に鉄拳が落ちた。
 拳の持ち主は引き締まった体と濃い眉の持ち主である。
「なんだ、取れてねぇじゃねぇか」
「当たり前だ。朝比奈、変なコトを言ってるんじゃない」
「いや、大将の言ったのの方が面白かったから、つい……」
「面白がっていられるような場合かっ」
 どうにも話が進まない。
「あー。で、結局何があったんだ?」
「ん?
 あぁ、それなんだが――」
 と、促されて漸く上原が説明しようとしたその後ろで、ジムの奥にある、更衣室の扉が開く音が聞こえた。
「……直接、見た方が早い。ああいうことだ」
「――な。」
 上原が、一歩体をずらした、その向こう。
 トレーニングウェアに着替えて更衣室から出てきたのは、バッサリと髪を短く切った“リングの仕事人”中森あずみの姿だった。



 その日のジムは、中森あずみ以外は何も変わりなく、しかしある意味で、中森あずみだけがいつもと何も変わらなかった。
 正した姿勢も精悍な表情も、いつもと何ら変わりない、中森あずみの“中森あずみ”らしい姿。ただ一つ、膝ほどまで伸ばされていた長く美しい後ろ髪だけが、今はない。
 手入れの欠かしたことなどないのであろう、艶輝きはそのままに。凛々しい視線を覗かせるそのボーイッシュなシルエットには、男女問わず魅了する中性的な優美がある。そしてそれはまた、レスラーの肉体美と女性としてのプロポーションを兼ね備えた彼女の体つきと、ミスマッチな、しかしそれ故の形容しがたい魅力を孕んでいた。
 コレがもし、単なる新年度に向けたイメージチェンジだとしたら大成功と言い切れるだろう。
 だが、若い女が髪を切るというのは、概してそんな単純な話ではない。
 とりあえず、いつものジャージとランニング姿に着替えてきた小鳥遊は、上原、朝比奈と三人で深刻な表情で向かい合っていた。
「やっぱ髪切ったってのは……つまりその、何かあった……ってコトか」
「大将でもそう思うか」
「でもって何だ。あぁ、でもってのは何だっ?」
「た、他意はねぇって!」
「――やっぱり、小鳥遊も同じ意見か」
 そう言って、上原はため息をつく。
「違ったら、お前に何があったのか聞いてきて貰おうと思ってたのに」
「おい。」
 小鳥遊は二人に凄みを効かすが、半ば呆れながらなのでどうにも締まらない。
「ま、その計画は置いといて。
 しっかし……あのお堅い中森になぁ。仕事一筋って感じなのによ」
「まぁ――今時三禁徹底って時代でもねぇしな。おかしな話じゃねぇよ」
 三禁とは、昔の女子プロレスで禁止されていた三つの娯楽「酒・煙草・男」のコトである。酒や煙草は選手の年齢や健康維持のため今でも厳格に禁止している所もあるが、恋愛禁止というのは、今となっては少々時代錯誤な代物だ。
「触れねぇでやればいいんじゃねぇか? ゴシップに食いつくのはアタシらの仕事じゃねぇだろ」
「…………」
「私たちはそれでいいんだがな……」
 そう言って、ジムの隅へと顔を向けた上原の、視線の先を小鳥遊は追う。
(――何にもないってコトは、ないですよねっ)
(そりゃそうよ! いっくらポーカーフェイスでも、あのどこか寂しげな瞳の憂いは隠せないにゃん!)
(アズミの髪、長くて綺麗だったもんね。アレを切っちゃうなんて、よっぽどのことよ)
(おネエさんが思うに、相手は年上のオトコね……)
「………………」
「……何だ、アイツら」
「……ウチの、期待の新人たちだ」
 人並みの聴力しか持ち合わせてない小鳥遊にその内容までは聞き取れなかったが。
 そこに居たのは、隅に敷かれたマットの上に固まって、ユルい柔軟をしながら井戸端会議にいそしむ、堀に菊池に、アニーとバニー。
 明らかに体より口が動いている四人の表情から、どんなことを話しているのかは実に容易に察しがついた。
「ッてーか! 堀と菊池は兎も角、何でアニーとサーラまで居るんだっ」
 サーラというのはバニー・ボンバーの本名である。
「二人とも、今日はそれぞれタッチワークの練習をする予定だったらしい」
「んで、ウチのジムに来たら中森がああだから……」
「四人であのザマってわけかよ……」
 小鳥遊は顔をしかめて頭を掻き毟った。
「怒鳴りつけても、そんなんですぐ集中できるようには――なんねぇだろうなぁ」
「あぁ。中森があのままで、その理由もわからない内は、あの若手連中の士気にも影響が出てしまう」
「サーラは若手って年じゃねぇけどな」
「……………………むぅ」
「うわぁ!?」
「おぉっ!」 
「――ッ!」
 ……四人のことを言えないくらい、ジムの隅に固まってユルいスクワットをしていた三人の背後。走りこみから帰っていたRIKKAが、一人気配を消して佇んでいた。
「い……いつから居た?」
「………………ゴシップ」
「あん?」
「…………」
「あ、あぁ。ゴシップはアタシらの仕事じゃ……って、大将が言ってた辺りから、か?」
「………………うむ」
「よくわかったなぁ、朝比奈」
 リング上でもないのに覆い隠した覆面の内から、明らかに字数の足りない会話を交わすRIKKA。
 その姿を見て、小鳥遊と上原の脳裏に同時に同じ閃きが走った。
「そうだ、RIKKA!」
「……?」
「話は聞いてたよな? お前、中森に聞いてきてくれよ」
「………………むぅ」
「――髪だよ、髪。何で髪切ったのか」
「…………うむ」
 朝比奈の補足を受けて、RIKKAは音もなく中森に歩み寄っていく。
 小鳥遊らの動きに気付いたのか、野次馬四人組もお喋りを止めて中森に見入る。
 勿論、RIKKAを送り出した小鳥遊たちも、固唾を呑んで二人の動向を見守っていた。



 中森あずみは、周囲のそんなヤキモキなどまるで気にする様子もなく、自分のトレーニングメニューを順調に消化していた。
「………………」
「どうしました、RIKKAさん」
 珍しく人の背後に忍び寄らないRIKKAを見て、中森は縄跳びを止め、自分から声をかける。彼女相手にはそうしないと話が進まないことを、同期の中森は重々承知していた。
 首にかけたタオルで額を拭く。頭を軽く振ると、軽く流した襟足から光る汗が散った。RIKKAは顔を動かさぬまま、瞳だけでそれを追い、いつものように、一言だけ呟く。
「………………髪」
「――あぁ」
 端的に発せられたその言葉を受けて。
 中森は少しだけ、自嘲気味な笑みを浮かべて、言った。
「何でも、ないんですよ。
 御心配かけて、すいません」
「…………うむ……」
 その言葉を聴くと、RIKKAは軽く、優しく、頷いて、踵を返した。



「…………何でもない」
「役立たずかテメェは!」
「お、落ち着け朝比奈! RIKKAに行かせた私たちが間違ってた!」
「…………むぅ」
「『自分のどこに落ち度があったんだ?』みてぇなツラしてんじゃねぇ!」
「マジで、よくわかるなぁお前」
 再びジムの中で4-4-1のフォーメーションが組まれた正にその時。音を立て、ジムの扉が勢いよく開かれた。
「や! みんな頑張ってるか!」
「うげ」
「うわ」
「うっ」
「…………うむ」
 勢いよく扉を開いて現れたのは、女ばかりのジムには場違いなスーツ姿の男。
 彼女たちの所属する、この団体の社長であった。
「んー、どうしたんだ、今日はイマイチ活気が……!」
 眉をひそめてジムを見渡す社長の視線が、一人縄跳びを続ける中森に止まり、固まる。
「な、中森……」
「あ、社長。おはようございます」
 いつも通り、ハキハキとした声で挨拶をする中森。
 だが、社長はそれには応えず、独白のように、言った。

「中森……お前、本当に切ったのか!」

「なっ――社長が!?」
「マジかっ! マジなのかっ!」
「なんてこと……」
「…………ふむ」
「き、禁断の恋!?」
「そんにゃっ!?」
「ワオ! ドラマチック!」
「ウフフフ、面白いわ……」

 一息に騒然となるトレーニングジム。硬直の解けない団体社長。
 だが、中森は変わらずマイペースで、言葉を続けた。
「はい。これで軽く1kgは減量できましたよ」

『……はぁ?』
 中森と社長と、RIKKAを除く七人の声が、完全に、ハモった。
「あの……社長、コレはどういう……?」
「あ、あぁ……」
 おずおずと問う上原に応えて、社長が言葉を紡ぐ。
「こないだ、新年度版の女子プロレスラー名鑑のデータを提供したろう。
 知ってのとおり、体重なんかは任意で非公開でもいいんだが、中森は構わないって言うんでな。例年通りのデータで送ってたんだが――」
 そこまで言った所で、今度は中森自身が社長の言葉を続けた。
「それが、去年から今年にかけて筋力アップを図っていたので、ウェイトが2kgほどアップしていたことを伝え忘れていたんです」
 そう言う中森の顔は、本当に恥ずかしげだ。
「それで、名鑑を見たファンの方たちが、データと違う自分の姿を見るようなことがあってはいけないと、ウェイトを落とすことにしたんです。
 しかし、折角つけた筋肉を落としきってしまうのも勿体無かったので……」
「――髪を切って、減量の足しにしたってのか?」
「はい」
「…………はっ」
 ――馬鹿らしい。あぁ、本当に馬鹿らしい。
 小鳥遊は、この心地よい一日の午前中を何ともくだらないイベントで潰されたものだと呆れ返り、何もかもが馬鹿らしくなった。
「お・ま・え・なぁ……」
 が。
 まだまだ若い、隣に居た自分の妹分は「馬鹿らしい」では済まされない気分だったようだ。
「バッカかてめぇは! ンなもんのタメに伸ばした髪切る女がどこに居るってんだよっ!」
「しかし、自分はプロですから……」
「ンだとしてもだよ!」
 なんだかんだ言って心配していたのだろうか。朝比奈の怒りは収まらない。
「1kgや2kgの体重なんかより、髪短くなってる方がよっぽどデータと姿形変わっちまうんじゃねぇのか! えぇ、オイ!?」
「…………。」
「無言で『あ。しまった』って顔してんじゃねぇぞテメェ!
 ンなに痩せたきゃその髪全部ぶち抜いてやる!」
「まッ、待てェ、朝比奈ぁ!」
「落ち着けッ! おい、小鳥遊! アンタも止めろ!」
「アタシャ知らねぇよ。走りこみ行ってくらぁ」
「小鳥遊ぃぃぃ!」



 社長の悲鳴と上原の絶叫、朝比奈の怒号とその他大勢の歓声の響き渡るジムを出て、小鳥遊は空を見上げた。
 太陽は大分南に昇り、冬の日にしては陽気も上々。
「アタシもイメチェンとか、してみるかねぇ」
 する気もないのにそう言って、ガルム小鳥遊は大きく白い息を吐いた。
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